惜しいのは命じゃない、時間だ。

秋の気配、ですね。

久しぶりの更新なんですね。
ごめんなさい。
忙しいと言えば忙しいし、
難しいと言えば難しいし。
そんな事に手をつけながら、
毎日を過ごしているのです。
そろそろもう少し落ち着いて、
仕事も人生も歩まなくては、
いつか身体がダメになるだろう、
そんな気持ちがする、
秋の気配漂う九月を送っています。

この月末には、

『僕の東京日記』
が開演します。永井愛先生の作品です。
演出のみですが、おたのしみに。

そこからは、
怒涛のように公演があります。
いつものように(笑)

10月は
『かんしゃく玉』
岸田國士の作品にうちの竹中が演出としてついて、
僕は監修。竹中の演出デビュー作となります。

11月は
『太宰治文学サロン朗読会』
に出演させて頂いて「朝」「雪の夜の話」の二本を朗読します。
『海猫は泣いている』
がその翌週。作・演出・主演です。恥ずかしいです。

12月は
『近代能楽集』
三島由紀夫の作品から「班女」と「熊野」を。
演出だけですが、今回はより斬新にやります。

1月は、やっと休み(笑)

2月は
『椿と女囚、月の夜』
ortensia第二回公演ですね。
飯田南織と二人芝居。作・演出・出演です。

3月は
『傑作短編選』
近代古典の名作を日替わりで五本上演。
「赦せない行為」森本薫の作品。
「ぶらんこ」岸田國士の作品。
「宮城野」矢代静一の作品。
「白鳥の歌」チェーホフの作品、出演。
「バイロン卿の恋文」テネシー・ウィリアムズの作品、出演(予定)
全作、演出します。

4月は
『春の朗読会〈2〉時代の言葉と女優たちの声と』
10人の女優が近代古典文学の短編を読みます。
千穐楽には僕も出演します。

さて。
来年は、坂口安吾とか、三好十郎の準備とか(笑)
新しい作品を書いたりとか。
これまで以上に作品に関わろうかと。

新作は、
『誤射 〜京の夜を引き裂いて〜』
という、任侠モノを書いてみたいなと。

あと、珍しい事を言えば、
客演したいなぁと思っています。
多分、死ぬんでしょ、そろそろ。
死期が近づいていて、演劇にしがみついてる(笑)
まぁ、悪い事じゃないです。

それ以外にも色々とプロジェクトがあるので。
また決まったら発表しますね。
ワークショップもあります。

てなわけで。
よろしくお願いします。

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移動遊園地について

夜の遅いこの街に
西の果て
ひときわ美しい光を放って
移動遊園地が来た
いつ来たのか分からないし
いつまでいるのか知らないけれど
移動遊園地が来た
どうして組み立てたのか
想像もつかないけれど
立派なメリーゴーランドが中央に陣取り
背丈の低い観覧車が厳かに回っていた
緑と赤と紫のテントの中では
ささやかなサーカス団が拍手を浴びて
子供らはソフトクリームに夢中になった
夕闇が夜の色を濃くしながら
藍色の空に星が浮かぶ頃
移動遊園地には
子供より大人の方が多くなって
ベンチというベンチは恋人たちで埋まった
花火が何処かで上がって
名前だけ聞いたことのあるバンドが
懐かしい歌を唄った
射的場の景品が月明かりでどれも蒼ざめて
向けられた銃口を拒むような顔をしていた
たくさんの屋台(?)が立ち並んで
ビールの匂いが
シャンパンの匂いが遊園地に溢れていた
近くを流れる川のせせらぎは
バンドの演奏と
メリーゴーランドの音楽に
かき消されたり励まされたりしながら
僕らの街の夜を深く濃く
絶対的な速度で
何年も前に計画された事業のように確かに
押し広げていった
僕はようやく移動遊園地のチケット売場の前にきて
痩せた老人の前に立った
「オトナ一枚」
僕がそういうと老人は流暢なイタリア語で
「オトナだって証明できる?」
と聞いてきた。証明?
僕はポケットに手を突っ込んだけど、
ポケットに東京タワーと
フィアット500の68年型が入っているだけだった
「出来そうにないな、証明なんて」
老人はカラカラと笑った。
「なら、コドモ料金で入るといい」
僕は訝しい顔をしてみた、老人は続けて、
「移動遊園地なんじゃよ、気にすることはない」
そういった。
僕はポケットの東京タワーを老人に渡して、
遊園地に入った。
どんなに穿ってみてもそれは夜の出来事で、
遊園地の中は完全なまでに完結した夜だった
僕は目に付いた店で、
白ワインを買った。
トレビアーノの味がした。
強い酸味とその奥にほんのりとある
キャンディのような可愛らしい甘みが
身体の疲れをほぐすような気持ちになった
気がつくと、
メリーゴーランドは止まっていた
観覧車は回るのをやめていた
全ての店は閉まっていた
僕はそこに立ち尽くして星と遊園地を見ていた
遊園地は不思議なことに
1分間に1cmくらいずつ
移動しているようだった
そんなことがあるわけがないのだ
こんな方法で移動は無理だし無茶だ
「驚いたかね?」
チケット売場の老人が話しかけてきた
「移動遊園地はこうやって次の目的地に行く」
「嘘でしょ?こんなの無理だ」
老人はカラカラと笑った。
「ワシも最初はそう思っておった」
でも案外このままいけるのだ、老人はそう言った。
「見ているかね?移動するとこを」
僕は老人を見た、老人はまた言った。
「しかしね、これが移動するのを見たものは、
チケット売場の担当になる事が義務付けられてる。
ワシもそうじゃった。45年前の夏、ワシは、
フィレンツェの小さな公園にコレが来た時、
遊園地が移動するのを二日二晩みていた」
僕は迷った、随分迷ったと思う。
「お前さん、仕事は?」
老人の目は真剣だった。
「特に何も、世の中の役に立つようなことは何も」
なら売場に座ってればいい。移動遊園地は世界中の子供の夢だ。全ての人がコドモ料金で入れる。
ここは、コドモの国なんだ。信じるかはお前さんの自由じゃが、老人はそう言って入口へと戻った。
僕は老人を追って、売場に座ることを願い出た。
僕は閉園した移動遊園地の売場に座った
そこはまるで最初から僕の場所だったかのように
しっくりと僕を出迎えてくれた。
老人は遊園地を去った。
45年勤めた、素晴らしい人生だった
僕にそう言い残して。
僕はチケット売場で朝が来るのを待った
胸がドキドキして眠れそうになかった
観覧車は今にも回り始めそうだし
メリーゴーランドの馬たちは音楽を待っていた
射的場の景品たちは朝日の方をにこやかに見つめ
僕はチケットを数字の順番に綺麗に並べ
最初の朝を待った
僕はこの街の名を知らない
どのみち、これからは
ひとつところに長居はしないのだ

ようやく東の空が明るくなってきた

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さて。

僕は僕の芸術性のために、

色んなことを精査すべき日に来てる。

僕は何になりたいのか?

何を犠牲にしているのか?

何処へ向かうのか?

必要なモノは?

不要なモノは?

 

そろそろ答えを出さなきゃ。

 

三好十郎『廃墟』

岸田國士『落葉日記』

イプセン『民衆の敵』

 

 

目標はあるのだ。

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翠色の月の影を追って

ルクセンブルクにあったはずの時計台が
記憶の中だけのものだったとは
どんなに思い巡らせても今は
その場所には月の影が翠色に落ちている
川は南から北へそのせせらぎを段々と強くして
月の中へと流れ込む
翠色の月の影に黒い川が流れ込む
僕は着ていたコートを春の中へ投げ込む
花は咲いている
月はその影を落としている
川は命を運んでくる
時計台が喪われたのは何故だろう
時間は何処を旅しているのだろう
時間が旅に出たせいで
僕は月の影から離れる事が出来なくなった
朝は来るだろうか
あの高らかで朗らかな足音をさせて
もしも時が春を連れ出しているのだとしたら
僕はここで喪われた時計台の面影と共に
去りゆく冬の後ろ姿ばかりを眺めることになるのだ
なんとも心細い
なんとも儚い
それでもこの夜の静寂の向こうから
樹々の騒めきが聞こえて来る
夜の鳥たちが啼いている
蕾が開くその微かな音が風に乗ってくる
花は咲くのだ
世界はやがて春になるだろう
時の旅の終わりを告げるように
月の影に流れていく川の水面をせり上げる様に
世界はやがて春になる
僕は春を観ることが出来るだろうか
この儚い世界で

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久しぶりに泣いた。

命は惜しくない

夢は捨て難い

たったこれだけの事を想うのに

30分も泣いた

病気が蝕むのは身体より心だ

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